高血圧ってどんな病気?原因や予防・治療法について!
そもそも高血圧って何?
まず血圧とは、心臓から送り出される血液が全身へと流れていく際に動脈の内側にかかる圧力のことを言います。
血圧は収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)で表されます。
収縮期血圧とは心臓が収縮して、最も強く血液を送り出そうとするときの血圧、拡張期血圧は送り出した血液が心臓に戻ってくるときの血圧を指します。
高血圧とはこの血液を送り出すとき、または心臓に戻ってくるときになんらかの理由で血管にかかる圧が高くなることです。例えば、血管が固くなる(動脈硬化)血液がドロドロになるなどの理由です。
高血圧というとよくテレビのCMなど『130超えたら!』というものを聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、血圧は測定する環境(場所や温度など)や装置、タイミング(運動や入浴、食後など)によって変動することもよくあります。
確かに収縮期血圧が130㎜Hgを超えたら注意が必要ですが、高血圧症と判断されるのは下の図で示されている、Ⅰ度・Ⅱ度・Ⅲ度高血圧・収縮期高血圧の数値を繰り返すことを指します。
ご自宅などで測定する場合は血圧計の種類にも注意が必要です。
血圧計は手首や二の腕で測ることがあると思いますが、手首で測定するものは測定する場所が心臓から離れ、高さもばらつきがでやすいことから、不正確になりやすいため二の腕で図ることが推奨されます。
また医師の診断に用いる場合は、血圧手帳の使用の有無、測定方法や回数、頻度など細かく決められていることもあるため測り方についてはかかりつけ医とご相談ください。
高血圧になるとどうなるの?
高血圧は自覚症状が少なく、サイレントキラーの一つと言われています。
高血圧は全身の動脈硬化を促進し、脳心血管病(脳卒中および心疾患)の最大危険因子となります。また慢性腎臓病、末期腎不全の発症リスクを上昇させます。
その他にも高血圧と合併してほかの危険因子が集積すると脳心血管病リスクはさらに高くなります。例えば糖尿病、脂質異常症などが挙げられ、それぞれ合併することで死亡率が高くなります。
動脈硬化って何?
動脈硬化とは血管が固くなり、弾力性が低下したことを指します。
大動脈などの大きい血管では流れを妨げるプラーク(コレステロールが蓄積してできた血管内のこぶ)ができやすくなります。
プラークが破れると、血管の中に血栓ができてしまいます。血栓が脳や心臓に流れて、細い血管などで詰まると脳卒中や心筋梗塞を発症します。また弾力性を失った血管は破れやすく、脳出血や大動脈解離の原因にもなります。
高血圧の原因は?
前述したとおり、高血圧になる理由は動脈硬化や血液がドロドロになるなどが挙げられます。
ではどのような原因が動脈硬化や血液をドロドロにしてしまうのか、その他の血圧が上がる原因についてもご紹介します。
食塩摂取量の多さ
多量の食塩摂取は高血圧になる3つの作用があります。
- 食塩を多量に摂取すると体の中の塩分(ナトリウム)を元の量に戻すため薄めようとします。そのためのどが渇き、水をたくさんのんでしまうと体内の水分量が増えます。体内の水分の多くは血中に溶け込むため、血液量が多くなることで血管にかかる負担が大きくなり血圧が上がります。
- 食塩には交感神経を活発にし、交感神経は血圧を上げる作用があります。
- 必要以上に摂取したナトリウムは血管に吸収されます。血管は筋肉と同じ細胞でできているため、ナトリウムが多いと血管が縮まり、細くなることで血圧が高くなります。
スーパーなどで買ってきたお肉に塩を振って置いておくと水分が出て縮んでしまうのと同じ原理です。
厚生労働省による食塩量目標は成人男性で7.5g/日未満、成人女性は6.5g/日未満とされていますが、令和元年度の日本人の1日あたりの平均塩分摂取量は男性が10.9g、女性が9.3gと多く摂取しているのが分かります。
肥満とメタボリックシンドロームの増加
食塩・脂質摂取量が多い食生活、運動不足や過度なアルコール摂取など多岐に渡る原因を積み重ねることで肥満やメタボリックシンドロームになります。
これらの肥満に至る原因一つ一つが動脈硬化の原因にもなりますが、肥満やメタボリックシンドロームになるとインスリンが過剰分泌されやすく、血中のナトリウム濃度(塩分)が上がる、交感神経が刺激されるなどの要因により、血圧が高くなります。
運動不足
運動は体の血流をよくするなどの作用がありますが、運動不足になるとその作用が減るだけでなく、筋肉の量も減ります。
筋肉は血液を全身に流すポンプの作用もあるので、ポンプの量が減ったことにより血液の流れが滞ります。すると全身に血液を送るために血管内の血液量を増やしますが、血管に負担がかかり血圧が上昇します。
ストレス・過労
ストレスを感じると交感神経が働き、毛細血管が収縮することで血圧が上昇します。
一過性のストレスであれば問題ありませんが、持続したストレス環境下にいることで血圧が下がることなく、高血圧となってしまいます。
また過度なストレスは動脈硬化を促進してしまう効果もあるので注意が必要です。
喫煙
たばこに含まれているニコチンには血圧を上げる作用がありますが、血圧の上昇は一時的なものです。
しかしヘビースモーカーになると血圧が下がる前に喫煙してしまうため血圧が下がらず、高血圧になるリスクが高いと言えます。
また喫煙は高血圧を引き起こす原因にもなりますが、動脈硬化を引き起こす原因にもなりやすいので脳心血管病リスクは高くなります。
過度なアルコール摂取
長期的に飲酒を続けると飲酒量にもよりますが血圧が上昇します。
血圧が上昇する明確な原因はわかっていませんが、5~10㎜Hg程度上昇すると言われています。
またアルコールは利尿作用があり、体内の水分の排出を促します。そのため、血中の水分量も減少し、脱水状態になります。
そのほかにもアルコールには脂肪を吸着させやすくする作用などがあり、過度なアルコール摂取は血液をドロドロにしてしまいます。
加齢
加齢に伴い、血管の弾力性が低下し、そのため血流が悪くなります。
また高齢になるにつれ、合併症などの影響を受けることが多くなったり、血圧調整に関わるホルモンの分泌量が低下することなども高血圧につながる要因です。
遺伝的な要因
家族に高血圧の人がいる場合、いない場合に比べ2倍も高血圧になりやすいと言われています。
しかし必ずしも遺伝的な疾患というわけではなく、一緒に暮らしている家族は生活習慣(塩分の高い食事を好む、運動不足、飲酒・喫煙習慣など)が似やすく、高血圧になりやすいということもあります。
そのため遺伝性と言われたとしても生活習慣の見直しは必須になります。
高血圧の治療・予防はどうしたらいいの?
これまで高血圧の症状などについて書いてきましたが、まずは高血圧にならないようにすることが健康状態を維持するためにも必要になります。
では具体的に治療・予防をどうしたらいいのか?をご紹介します。
生活習慣の見直し
高血圧は主に生活習慣で高くなることがほとんどです。
食生活や飲酒・喫煙を控える、ストレスとのうまい付き合い方を考えるなど生活習慣を見直していただくことが高血圧予防・治療のはじめとなります。
食生活ではファストフードや加工食品など脂質や塩分の高い食事を控え、赤身肉や野菜、大豆食品などを多く摂るようにしましょう。
適度な運動
例えば30~40分ほどのウォーキングや20分以上のランニングなどの有酸素運動が高血圧の予防になります。
ラジオ体操のような気軽に取り入れることができるものや掃除や洗車、自転車での買い物など生活の中でも取り入れられる運動もあるので積極的に行っていくことをお勧めします。
ただしⅡ度以上の高血圧の方は運動前に医師の確認や運動量の調整が必要になります。
そのため、医師や理学療法士、作業療法士、メディカルトレーナーなどの指導のもとで運動を行うことが推奨されます。
服薬による血圧コントロール
処方には医師の診察が必要になりますが、降圧剤などを服薬することで血圧コントロールがしやすくなります。
しかし降圧剤を飲みながら生活習慣は変わらないという方は血圧が下がりにくいので、服薬しながらも生活習慣の見直しはしっかりと行いましょう。
しっかりした睡眠をとる
就寝中などリラックスしているときは副交感神経が有意になるため、血圧は就寝中が最も低くなります。
睡眠不足になると血圧の高い時間が長く続くだけでなく、ストレスなどの影響もあり血圧が上がりやすくなります。
高血圧を防ぐためには7時間程度の睡眠がよいとされていますが時間とともに質も大切になります。
朝日を浴びる、日中の活動量を増やす、就寝前のブルーライト(PCやスマホなど)は避けるよう心掛けましょう。
また質の良い睡眠は疲労回復やストレス解消、肥満防止などの効果もあるので積極的に取り入れていただきたいと思います。
まとめ
- 自宅で測る血圧と病院で測る血圧に違いがあるため、どちらも定期的に確認していきましましょう。
- 高血圧は生活習慣病の一つです。まずは生活習慣をしっかりと見直しましょう。
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ストロークジムの作業療法士、サイトウです。
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