その膝の痛み、もしかしたら変形性膝関節症かも? 予防に役立つ運動8選
『若い時はなんともなかったのに年を取ってきてからだんだん膝が痛くなってきた…』なんてことありませんか?
または痛みはないけど膝の曲げ伸ばしをするときに違和感がある方などもいらっしゃるかと思います。
実はそれ、変形性膝関節症かもしれません!
今回はそんな変形性膝関節症について説明していきたいと思います。
変形性膝関節症ってなに?
変形性膝関節症は英語でいうとOsteoarthritis of the kneeであり、よく病院やリハビリ施設では膝OA(オーエー)と言われています。
膝はの骨は
- 大腿骨
- 脛骨
- 腓骨
- 膝蓋骨
の4つの骨で構成され、骨を包むように滑膜・靭帯・筋肉などがついてできています。
膝の軟骨は半月板と呼ばれ、聞いたことがある方も多いと思われます。半月板は関節が動くときや体重を支えるクッションの役割を果たしています。
変形性膝関節症はこの半月板が徐々にすり減っていくことで膝の動きがきしむようになったり、痛みが出たりします。
変形性膝関節症の症状は初期では
- 膝のこわばり
- 徐々に膝が伸びにくい
- 長時間正座していると膝が痛くなる
などがみられます。
悪化していくと膝の骨が変形し(骨棘の形成)痛みが強く椅子から立ち上がる、少し歩くなど簡単な動作もできなくなることがあります。
痛みが出やすいのは膝の内側が多く、痛みがひどい時は膝の周りが熱を持ち(炎症反応)、また膝に水が溜まることも変形性膝関節症の症状として多く見られます。
変形性膝関節症になりやすい人っているの?
まず変形性膝関節症は一次性と二次性に分けられます。
一次性は加齢などによるものです。二次性は外傷や先天的異常など明確な原因があるものとされており、多いのは二次性によるものです。
二次性の変形性膝関節症の多くの原因が、肥満や運動不足による膝周囲の筋力低下により、膝への負担が多くなったことで起こる半月板への外傷が原因になります。
なので肥満や下肢筋力が低下している人、普段から正座など膝に負担を掛ける姿勢が多くなりやすい人に見られやすい疾患です。
また変形性膝関節症はO脚やX脚の人にも多く見られやすくなります。
O脚は床での生活が中心の人、X脚は椅子での生活が中心の人に多く見られやすく、特に日本人ではO脚の人の変形性膝関節症が多く見られます。
変形性膝関節症の治療方法は?
変形性膝関節症の治療方法は大きく分けて保存療法と手術療法の2つに分けられます。
保存療法では主に膝にかかる負担を減らしていくために生活指導や膝周りの筋力強化が必要です。また膝周囲の炎症を抑えるための抗炎症薬の服薬も効果的です。
また膝へのヒアルロン注射や膝に溜まった水を抜くことも治療の一つとして有効です。
最近では膝の水を抜かない方がいいということを耳にしたことがある方もいると思いますが、膝に溜まった水の中には痛みを誘発するサイトカインというホルモンが含まれているため、多すぎると痛みを悪化させてしまうこともあるので、膝の水を抜くことは有効な治療の一つと言えます。
手術療法では保存療法では症状が改善せず、関節破壊が進行した方が適用となります。
手術の方法としては人工関節だけでなく、変形を矯正するための骨切り術や関節内膜の一部を切除する内視鏡手術などもあるため、どの手術が適応になるのかを担当医と相談する必要があります。
また最近では関節軟骨を改善するために幹細胞を活用した治療法なども新しく出てきています。
今までは、関節軟骨は一度擦り減ったら改善しないとされていましたが、幹細胞を活用することで関節軟骨が復活することがわかってきました。こちらも適用になるかは担当医や変形性膝関節専門外来などでご相談する必要があります。
膝周りの筋肉を鍛える運動
前項目では簡単に治療法について記載しましたが、この項目では保存療法として具体的にどんな運動をしたらいいのかをご紹介します。
ストレッチ
膝が痛いと動かさなくなることもあり、筋肉が凝り固まってしまいます。
筋肉が固くなるとけがをしやすくなったり、膝周りの支えとしての能力を発揮できなくなるなど、悪循環の要因になりやすいのでしっかりとストレッチをしていきましょう。
大腿四頭筋・腸腰筋ストレッチ(仰向け)
- ベッドの端に仰向けになり、足を下におろす
- 2~30秒ほど深呼吸しながら太ももを伸ばす
大腿四頭筋ストレッチ(立位)
- 大きく一歩足を前に出し、かがむ
- 前に体重をかけ後ろに引いた足のふとももを伸ばす
- 20~30秒ほどこの姿勢をキープする
筋膜張筋ストレッチ
- ベッドの端に横向きになり、足を下におろす
- 2~30秒ほど深呼吸しながらお尻の筋肉を伸ばす
筋力トレーニング
膝周りの筋力を鍛えていくことで体重をかけたときの支えと役割を果たし、骨にかかる負担を減らしてくれるため痛みが減少します。痛みが出ない範囲の運動を行い、膝周りの筋肉を鍛えていきましょう。
パテラセッティング
『目安回数:10回×2セット』
- 仰向けの状態で膝の下にボールやタオルを入れる
- 膝の下でボールをつぶし、10秒ほどつぶした姿勢をキープする
SLR
『目安回数:20回×2セット』
- 仰向けになり、足を延ばす
- 伸ばした方の足を上下に上げ下ろしする
内転筋運動
『目安回数:10回×2セット』
- 膝にボールやタオルを挟む
- 膝に力を入れはさんだボールをつぶす
スクワット
『目安回数:10回×2セット』
- 無理のない範囲でスクワットをする
- 膝の痛みでスクワットが難しい方は②のように高い椅子や台から立ち上がる
ボール転がし
『目安回数:20回×2セット』
- 座った姿勢で足の下にボールを入れる
- 前に向かって真っすぐボールを転がす
今回ご紹介した運動のほかにも必要な運動やストレッチがありますが、膝の状態や痛みの具合などを加味しながら行う必要があります。膝の痛みが強い方は専門医や療法士、メディカルトレーナーと相談しながら運動を行うようにしましょう。
その他にできること
膝周りの筋肉を鍛える以外にもできることはたくさんあります。
特に痛みが強い方は参考にしてみてください。
膝に負担がかかる動作を減らす
例えば正座やしゃがむ動作などは膝に大きな負担をかけてしまうので椅子に変えたり、低いところに物を置くことを避け、正座やしゃがむ動作を減らしていきましょう。
杖などを使う
足だけで体重を支えると左右どちらか、または両方の足に負担がかかることになります。足への負担を減らすためにも手で体重を支えられる杖の利用も有効です。
サポーターを使用する
膝サポーターは支柱の入った固定性の高いものや簡単につけ外しのできるものなどたくさん種類があります。膝の痛みに合わせ、ご自分に合ったサポーターを使用しましょう。
減量
体重が重いと膝にかかる負担も大きくなります。まずは体重を減らして膝への負担を減らしていきましょう。
まとめ
診断や手術・服薬治療などは専門医の診察が必要ですが、予防治療は今からでも始められます。
定期的に膝の痛みや体調に合わせた運動を行い、膝への負担を減らしていきましょう。
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