予防が大切!脳卒中の症状と後遺症について
テレビやインターネット、医師からの説明など様々な所で「脳卒中」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
脳に関する病気の話では「脳卒中」「脳梗塞」「脳出血」など様々な名称があり、どのような種類・症状なのかわかりにくいことも多いかと思います。
今回はそんな脳卒中についてどんな種類があるのか、どんな症状が出るのか、予防方法につついてご説明したいと思います。
脳卒中とは?
脳卒中とは脳の血管のつまりや破裂など、血管が破綻することで突然神経症状が発現した状態の総称です。
脳血管が狭くなり、詰まる(=梗塞する)など血液の流れが滞る虚血性疾患と脳血管の破裂による出血性疾患に分けられます。
虚血性疾患
- 脳梗塞
- 一過性脳虚血発作(TIAとも言われます)
出血性疾患
- 脳出血
- クモ膜下出血など
では、それぞれがどのような疾患なのかをご説明していきたいと思います。
虚血性脳卒中
脳梗塞
脳梗塞では脳の中の血管がなんらかの原因により詰まってしまったことにより、血流障害が起こる疾患です。
脳梗塞の中でも種類が3つに分けられます
1.ラクナ梗塞
高血圧などが主な原因で日本人に多い脳梗塞と言われています。何らかの原因で脳の末梢血管が血栓により詰まることで起こる小さな梗塞をラクナ梗塞と言います。
2.アテローム血栓性梗塞
生活習慣病に起因することが多い脳梗塞で動脈内にアテロームと言われる状態が増え、脳の血管が細くなることで血流が途絶され、脳梗塞に至ります。
3.心原性脳塞栓症
心疾患が原因で心臓から血栓が脳に送られてしまい、脳の血管が詰まることで起こる脳梗塞です。
脳梗塞は脳内の血管が何らかの原因により、詰まることで脳に血液が循環されず、脳神経が酸欠状態になり徐々に壊死していくことで手や足が動かない、言葉が出てこないなど様々な神経症状が現れます。
一度壊死した脳細胞は復活することが難しく、後遺症が残ってしまう方が多く見られます。
また脳梗塞は再発しやすく、1年以内に再発する方は全体の10%、5年以内では35%、10年以内では50%と高い確率で再発していると言われています。
そのため、一度脳梗塞を発症した方は今まで以上に予防を意識していくことが大切になります。
一過性脳虚血発作
こちらも脳梗塞と同様に脳内の血管が何らかの原因により詰まってしまう疾患ですが、脳梗塞と違う点は【一過性である】点です。
初発症状は脳梗塞と同様に手足がもつれる、言葉がでないなどの症状が出ますがすぐに症状が改善します。
しかし放置すると脳梗塞につながる危険もあるため、一度でもそのような症状が出た場合はすぐに受診することをお勧めします。
出血性脳卒中
脳出血
脳の血管が破裂して出血することで脳内に血が溜まり、出血した先や出血した血だまりで脳を圧迫し、手足の麻痺や呂律が回らないなどの様々な神経症状が起こります。
出血量が多いと脳の圧迫が強くなるため、重症化を防ぐ目的で開頭術や内視鏡で脳内に溜まった血腫を除去する外科的治療が選択される場合があります。
主な原因は高血圧で生活習慣の改善と降圧治療が脳出血の発症や再発予防に重要とされています。
くも膜下出血
脳は3層の膜で覆われており、その一番外側から硬膜、クモ膜、軟膜があり、クモ膜と軟膜の間にある隙間をクモ膜下腔といいます。
このクモ膜下腔で血管が破裂し、血液が流れ込むことをクモ膜下出血といいます。
よく言われる症状としては”突然バットで殴られたような”激しい頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどがあります。
原因の80%以上を占めているのが脳動脈瘤の破裂によるもので、中高年(40~60代)の女性に多いと言われています。
次に多いのが脳動静脈奇形で約5~10%を占め、20~40代の男性に好発すると言われています。
脳動脈瘤が原因の場合は非常に急速かつ重篤な経過をたどることが多く、死亡や重度後遺症を残す割合が多いです。
脳卒中の後遺症
ここまでで脳卒中の種類についてお話してきましたが、次は脳卒中の後遺症についてお話していきたいと思います。
運動麻痺
脳卒中の後遺症と聞いて先に思い浮かべるのは麻痺があると思います。
特に脳卒中の麻痺というと胸の前で腕が曲がり、固まっている姿勢を思い浮かべるという方もいらっしゃると思います。
上のイラストのような姿勢は運動麻痺により、手足を動かさないことで関節や筋肉などが固まってしまうことで起こる症状です。
また運動麻痺は手足だけでなく、体幹や内臓など様々な箇所にも起こります。
手足が動かないだけでなく、座っていてもバランスがうまく取れない、便秘になりやすいなど様々な悪影響を引き起こしてしまいます。
失調症
失調症状では以下のような症状がみられます。
協調運動障害
明らかな筋力低下がないにもかかわらず動作がうまく行えない、バランスが取れないなどの症状を指します。
距離測定障害
目標に向かって手を伸ばすが、目標より手前で手を伸ばす動きが完結してしまう(測定過少)、目標より大きく手を伸ばしてしまう(測定過大)があります。
振戦
運動するときに手足が揺れてしまうことで動作が安定しない状態を指します。
反復運動障害
運動の切り替えが素早く(かつ正確に)できなくなる状態を指します。
時間測定障害
運動をするとき、または止まるときに運動が遅れる状態を指します。
感覚障害
脳卒中の後遺症では感覚も麻痺します。
麻痺とは刺激があることが分からなくなるだけでなく、過敏になりすぎてしまうこともあります。
感覚は大きく分けて表在感覚と深部感覚に分けられますが、今回は脳卒中で麻痺しやすい感覚について記載していきたいと思います。
表在感覚
- 触覚:物に触れた感覚
- 温冷覚:冷たい・熱いなどの感覚
- 痛覚:物が身体に当たって痛いと思う感覚
深部感覚
- 運動覚:身体をどのくらい動かしたかの感覚
- 位置覚:身体の一部がどこにあるかの感覚
これらの感覚が麻痺することで、自分の身体と物の距離感や力加減などが分からず、適切な運動をすることを阻害してしまいます。
感覚障害が強く出てしまうと腕がどこにあるのかわからなくなることがあります。
その状態で寝返りをすると腕を背中側に巻き込むなどし、肩の脱臼を起こしてしまうことも少なくありません。
このような後遺症で起こるケガや病気などを二次的障害と言います。
嚥下障害
口周りや喉の筋肉が麻痺することにより、食べ物や飲み物を飲み込むときの反射が正常に起こらなくなったことにより、気管支や肺に食べ物や飲み物が流れ込んでしまう症状です。
嚥下障害が続くと“誤嚥性肺炎”につながってしまいます。
高次脳機能障害
脳では物事を考えたり、注意を払ったりする機能がありますが、脳卒中になるとその働きも障害されます。
高次脳機能障害にもいくつか種類があるのでご紹介していきたいと思います。
注意機能障害
集中力が低下し注意散漫になってしまう、またはひとつのことにしか集中できなくなってしまうなどの障害が起こります。
記憶障害
最近のことが思い出せない、昔のことが思い出せない、または今まで慣れてできていたことができなくなるなどの障害が起こります。
失語症
失語症には大きく分けて2種類あります。
運動性失語(ブローカー失語)
相手が話している内容は理解でき、言葉にしようとしても離せなくなるなどの症状がみられます。
感覚性失語(ウェルニッケ失語)
話している内容が正しいと思いながらも、実際に話している内容は支離滅裂になるなどの症状がみられます。
その他にも失語症には種類がありますが、大まかにはこの2種類が多く見られます。
失行症
明らかな麻痺がないにもかかわらず、動作が拙劣になる障害です。
失行症は3種類に分けられます。
1.肢節運動失行
立ち上がる、座るなど簡単な動作が稚拙になる症状がみられます。
2.観念運動失行
自身で考えて動くことはできるが、人に言われるとできなくなるといった症状がみられます。
3.観念失行
道具を使用した動作になると稚拙になるといった症状がみられます。
失認症
失認症にもいくつか種類があります。
1.半側空間無視
左側に多く、視界に入ってはいるが、左側を認識できないなどの症状がみられます。
2.相貌失認
相手の顔を見ても、顔の認識ができないなどの症状がみられます。
このほかにも脳卒中の後遺症はたくさんあります。
また後遺症は一つではなく重複して発症することが多いので、改善のために時には年単位の長期間のリハビリが必要になります。
脳卒中の予防方法
厚生労働省によると脳卒中は生活習慣病のひとつとされています。
発症の原因には高血圧、脂質異常症、肥満、飲酒、喫煙などが起因しているためです。
くも膜下出血では約80%は脳動脈瘤の破裂によるものとされています。
しかしそもそもの動脈瘤の原因には高血圧や動脈硬化、喫煙が多く、そのほかに遺伝性の要因があるとされています。
そのため、脳卒中の予防のためには生活習慣の見直しが重要になります。
生活習慣病ってなに?
食生活、運動、休養、飲酒、喫煙などの生活習慣が起因する疾患のことを指し、
糖尿病や肥満、高脂血症、高血圧などがあります。
食生活では加工肉食品や脂質の多い食事を控え、野菜や魚などを多く摂る、運動では週3回以上(できれば毎日)の有酸素運動をする、飲酒・喫煙は控え、質の良い睡眠を確保するなどが大切になります。
まとめ
脳卒中は近年では死亡率は低下してきていますが、発症後にはなんらかの後遺症が残りやすい疾患です。
まずは脳卒中にならないための生活習慣の見直しが必要になります。
スマートチェーンのサービスでは生活習慣を見直すための運動や食事指導を行っています。
また現在脳卒中の後遺症でお悩みの方に向けたサービスもありますのでスマートチェーンのサービスをご利用いただければともいます。
スマートチェーンおすすめサービス
ストロークジムの作業療法士、サイトウです。
専門は脳卒中リハビリや生活期リハビリ。
病気になってからのリハビリのご相談だけではなく、病気になる前の予防的についても積極的に配信していきます!
脳卒中リハビリにご興味がある、相談したいことがある方は
ストロークジム公式HPからお気軽にお問合せください。
- ホーム
- コラム
- メディカルフィットネス
- 予防が大切!脳卒中の症状と後遺症について